『つきのかけら 2』








巣山が言う。
オレに向かって言うんだ。





オレの持ってる柔らかい髪の先を
指で触れて、触れて言うんだ。
「ほんとにいいのか?
自分の気持ち誤魔化す必要なんてないんだぞ」
「…えーと、いや、だから」
下手に何か言っても、墓穴掘ってそこに
すっぽりはまってしまいそうだったので、
口を開くのは止めにして。
泳いでいた視線も、きちんと巣山に固定して
その顔を見た。
自分の顔が赤いのはこの際しょうがない。





巣山は何だか寂しそうな目をしていて
そんな顔をさせてしまうことに罪悪感を感じる。












オレは、自分の気持ち誤魔化したいよ。













だって友達でいたいんだよ。





好きになれば、ただ甘いだけじゃない。
痛さも涙もちゃんとセットでついてくる。









お前相手に
そんな感情を抱えるのは辛いんだよ。












*

1から続いているような…。





2006/5/16UP


back