『人は月に何を見る』 寺脇さま 人は月に何を見る。 その日の月は真ん丸でバカみたい黄色く光っていた。 「浜田、みてぇ。」 ポツリと言ったのにバカはバカみたいに耳がいいらしく、すぐに反応があった。 「は??」 聞こえないじゃなくて意味がわからないのほうの、は。 「不自然な黄色。」 そう言って空を指差す。本当は日本人には不自然なそれが浜田には割に似合ってると思ってることは言ってやらない。 「あー…そうネ。」 なんとも微妙な顔を浮かべながら浜田はそう言った。けなしてもないけど、誉めてもいないことはわかったみたいだ。 近くにみえても、手が届かない。 バカみたいに見えたって本当はすごく大きい。 そんなトコも似てるって思ったけど、絶対に言ってやらない。 そしたら浜田が変なことをいいだした。 「じゃ、泉はウサギだ。」 「はぁ!?」 先程の浜田と同じ音で違う声色の反応。浜田はびくりと体を震わせる。 「ほら、月でモチついてるヤツ。」 その日の満月は大きくて、ウサギもといクレーターはよく見えた。 「ウサギかよ……」 なに、ずっとお前のそばにいるってか。 自分で考えといて、無駄にドキリとした。 チ、と舌打ちすると浜田がいずみ、と呼んだ。 「んだよ。」 「月見うどん食いたくね?」 ああ、この男は、まったく。なんて見当違いでバカなことを考えてるんだ。 「玉子の角に頭ぶつけて一回死んだら?」 「うわ!ひっで!つーか卵なんかで死なないし!そもそも角ないし!」 こいつって、とことんバカだよな。呆れるを通り越して笑いがこみ上げた。 仕方ない、バカは一人にしとけないから、オレがお前のそばでモチついててやるよ。 「泉、何笑ってんの?」 「はまだのバーカ。」 泉のクスクスとこぼれる笑いと浜田の叫びが夜空に響いていた。 人は月に何を見る。 見るは恋する人の顔。 |
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「ソラタカク」さんの1万打企画で
リクエストをして管理人の寺脇さんにSSをいただきました。
(リク内容は和準かハマイズで「月」。
花井と田島メイン、ミズサカありのサイトさまなのにこのリク内容…)
大好きなハマイズで「月」…わーい幸せでした〜♪
どちらも書いていただけてうれしかったです。
ありがとうございました!
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寺脇さんの素敵サイト『ソラタカク』
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2006.3.5 up