『人は月に何を思う』 寺脇さま 人は月に何を思う。 それは綺麗な真円を描いた満月だった。 開け放たれた窓からは月光が差し込み、照明をつけなくとも部屋のなかを判別するには十分な明るさだった。練習が終わって、フラフラしながら自室に戻った準太を迎えたその光景は、疲れがどこかへいってしまうようなものだった。 (すっげ…) 照明のせいか集中のせいか、先程まであの月の下で練習をしていたというのに、 全く気付きもしなかった。 さりげなく存在していたモノの意識させられた大きさは、圧倒されるばかりのものだった。 闇夜の月。 ポカンと天に浮かび、惑うことのないように道を照らす。 光は太陽のように目を射ることはなく、優しく降り注ぐ。 (和さんみたいだ……) 大きくて、遠くて、優しい。 帰り道、ふと道が明るいことに気が付いた。天を仰げば、満月だった。それもいつもより近く、大きなモノだった。 月の光は太陽光の反射。 そんな理科の初歩を 思い出しながら河合は月を見上げた。 月の輝きは太陽があってこそのもの。 どんなにそれが明るくとも、それは太陽が輝いているから。 (捕手みたいだな…) 捕手が輝くのは、投手が輝く時。 投手をうまく輝かせることに捕手の価値がある。 いい球を投げさせることが、捕手の使命。 (じゃあ、太陽は準太か……) マウンドの上で最高の光を放つ。 強く、圧倒的なその輝き。 人は月に何を思う。 思うは己の心に在る人のこと。 |
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「ソラタカク」さんの1万打企画で
リクエストをして管理人の寺脇さんにSSをいただきました。
(リク内容は和準かハマイズで「月」。
花井と田島メイン、ミズサカありのサイトさまなのにこのリク内容…)
月を見てお互いを思う…ううう感動です…。
ありがとうございました!
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寺脇さんの素敵サイト『ソラタカク』
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2006.3.5 up