『西浦水族館物語』





オレ、水谷フミキ。
埼玉にある「西浦水族館」で毎日元気に働いてる。
まだまだ新米の、オレの担当はアザラシ。
この水族館にはゴマフアザラシがたくさんいて
そのお世話を同僚の花井と一緒に頑張ってるんだ。



先日、アザラシの赤ちゃんが2頭生まれたんだよ。
名前は「レン」と「ユート」。
2頭ともオスなんだ。
赤ちゃん特有のふわふわの白い毛。
2.3週間で段々と生え変わっていくのが残念でならないくらい可愛い。



今日、くだらないミスして夜になってアザラシ部屋の隅で落ち込んでいて。
お空には月が綺麗に陣取っていて、星もたくさん瞬いていたのに、
空を見上げる余裕もないくらいだった。
「きゅ」
ユートが傍に寄ってくる。
ミルクが欲しい訳でもないようだ。
オレが落ち込んでるの……分かんのかな?
「きゅ、きゅー」
あんまり可愛いその鳴き声に
オレはユートに抱きついて、ちょっとだけ泣いた。



も少し、しっかりしたいんだ。
きちんとアザラシたちの世話もしたいんだ。
でもまだまだ実力も経験も足りなくて、ほんとはユートたちに
いっぱい迷惑かけてるのかもしれないなあ。
それなのに、ユートは愛らしい姿でオレの傍に寄ってくる。



オレ、頑張るよ。
今までも頑張ってなかった訳じゃないけれど、
もっともっと頑張るよ。
生まれたての可愛いユートとレンをちゃんと育ててみせるから。
だから今日だけは泣かせて。
可愛いその姿を抱き締めさせて。



「きゅー」とまたユートは一声鳴いた。
それはオレを癒してくれる優しい鳴き声だった。








おしまい。








どろさんへの捧げ物だった(というかノリノリで自分が盛り上がった)
「西浦水族館物語」です。
どろさんが描かれた栄口あざらしがとんでもなく可愛いです!!
その節は本当にありがとうございました!
設定作って遊んでいた時期がありまして、
阿部はオトナあざらしの設定でした。
レンに水谷が近付くと威嚇するのよー!(笑)
今でもけっこうお気に入りなのですが、何故UPをしていなかったかは謎。

以下、当時のコメントです。


書いてみたのは……いいけれど。
よく考えてみたら、私ギャグは苦手なんだった……。
誰か楽しい話を書いてくれないものか。読むのは好きなんだ…!!
つーかこれ、続くのか?
水谷と花井が飼育係なので7組つながりで阿部も…と娘さんに問うたら、
「阿部はアザラシでいいよ」とあっさり一蹴された。きゅーっ。

そしてもちろんどろさんに捧げます。
短い上、こんなもんですみませんでした。




『ototo』さま
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2011.1.4 up