The last alphabet of tomorrow 10
「J」



『join』






水谷の元気な声が図書館内に響く。
「みーはしせんせーいっ!また手伝いに来るねーっ」
2時間目の授業の後、そのまま三橋の手伝いのため、
居残り組だった栄口たちも自分の教室へ戻っていく。




図書館を出たところで前を歩いていた水谷が、自分がいる後方へ向かって手を伸ばす。
「栄口、手!」
「……はいはい」
笑みを浮かべて栄口も手を差し出した。
つないだままで教室までの道のりを小走りで行こう。




たぶんこの「手をつなぐ」という行為の深い意味も恥ずかしさも、
そんなものがまだ心のどこにもないほどに水谷は純粋なのだろう。




人前で、今しかできないからこそ、それは尊かった。
手をつなぐことで、心もよりつなげられたらいいと栄口は思ったのだ。









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2010/1/23 サイトUP





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