月篠あおい Side
今日が最初のいろは 3
「は」
『反対』
「まさか泉に反対されっとは、思ってもみなかったんですけど」
「…なんで先生なんかになったんだよ」
あああ、とオレ、泉の横で浜田は嘆いている。
帰り道。
2人とも自転車こいで。
家は近所だった。
「ずっと応援してくれてたよね。教員採用試験何度も落っこっても」
「オメーが西浦に来るのが、想定外なんだよ」
「まあ、2.3年で他の学校に出るとは思うんだけど」
「そんときゃ、オレも卒業していねーだろうが」
ばぁか、と毒づいてみせる。
「泉は可愛いからなぁ」
「なっ、何言ってんだオメーは!」
「早く彼女をつくんなよ。青春時代が終わっちゃうぞ」
「よけーなお世話だ!」
何だよ。
先生面しやがって。
テメーが教師の肩書き持って、オレの前に現れるから
もう好きだといえなくなった。
どうしてくれよう。
この気持ち。
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせすん
2006/7/5 UP