片付いた部室と出てくるコーヒーの旨さ。
おまえが、以前より明るくなって楽しそうで。
そんな変化がどこからくるのか
俺にわからないと思っているのか。





「どうしたの武蔵くん」
笑ってしまった俺に姉崎が問う。
「姉崎があいつの傍にいてくれて
よかったと思っている。ありがとうな」
「それを云えば、わたしはあなたのほうに
ありがとうをいいたいわ」
「…ん、何故だ」
「わたしがいたからじゃない。
あなたや栗田くんがいたからこそ、今のヒル魔くんがいるのよ」





逃すなよ、と俺は思う。
こんな風におまえを理解できて、
しかもついて来れる女は他にはいないかもしれない。



絶対に、逃すなよ。







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