妖一くんとまもりちゃんのお話 その12
『聖母』
神よ
お許しください
わたしは
悪魔とともに
歩いて行くのです
「一緒に堕ちていかないか」と
わたしに軽いキスを落としながら
ときどき彼は言うのだ。
その瞳はいつも真剣で。
わたしは答えず、彼を見つめたままで。
何故わからないのだろう。
彼の手をとった瞬間から、
ひとりの女でしかないのだと。
とっくに
堕ちてしまっているのだと。
わたしはもう
聖母なんかではないのだ。
☆
マリアシリーズとの対比が考えていて楽しい。
どちらの2人も好きです。