妖一くんとまもりちゃんのお話 その10
『ドラマの話 2』









「例えばわたしが氷の女と呼ばれてる心臓外科医だったとするわね」
わたし、姉崎まもりは「彼」であるヒル魔くんに
そう話を切り出した。
「聞いてる?」
「……聞こえてる」
「それであなたが天才外科医だとするわけよ」
「俺にまたドラマを語ってどうしようと言うんだ」
「聞いてる?」
重ねて尋ねたら、すごく呆れたような顔をしていた。





「わたしは第1助手であなたのサポートをするの。
あなたの手術が完璧に行われるように」
「ほほう、看護師はどうしたんだ」
「ああっそうよね!看護師と心臓外科医、どちらがヒル魔くんのタイプ?」
「…俺はドラマ見てねーぞ」
どうやら地雷は踏まなかったらしい。
けれど舌打ちの音はすっ飛んで来た。
「いい加減気づけ」
「なによ、もう」
「テメーは看護師でも心臓外科医でもない。ただの糞マネだ」
「分かってるわよ、そんなの」





他愛も無い話ができるのが楽しいんじゃないの、と
ちょっとだけ膨れて見せたわたしだった。














すみませんっ。
いやだからほらまたドラマ『医龍』ネタ…。




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