妖一くんとまもりちゃんのお話 その6
『ホワイトデー』









雨が降っていた。
風も強かった。
まるで嵐のように、
雨は流れて
風も流れて
泥門高校のあちこちを
揺らしつづけていた。



なんでこんな天気なんだ。
ヒル魔の舌打ちの音は床を転がっていく。


今日はホワイトデー。






「カタチがほしいのか」
とりあえず姉崎まもりに問うてみる。



「いいえいらないわよ。
大体あなたチョコ受け取らなかったじゃないの」
素っ気無い答えが返ってきた。
「カタチのあるものいくらもらったって
ココロがなければさびしいだけだわ」
この女はそんなことを言う。
その台詞、テメーにそのまま返したい。





「じゃあ、言葉のほうがよかったりすんのか」
さらに問う。



「…難しいわね。あなたはどうなの?」
こちらに振られて、思わず本音が出た。
「テメー1度も俺に好きだって言ってねぇじゃねぇか」
とりあえずお付き合いはしてるけれども。





「言葉なんて、いまさら?」
そんな言葉を投げてこちらに近づき
そっと口付けをする。







目を細めて笑うこの女の行動に
それもずるい、と思った。
















一癖も二癖もある
このシリーズのまもりちゃんです(笑)





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