たぶんわたしはその笑顔の中に
1%だけ
嘘をついている









1%の嘘










2学期も始まり、秋大会も始まって
わたし、姉崎まもりの学校生活は部活を中心にまわっていた。



お昼休みに職員室に用事があったので、
慌ててお弁当をかきこみ向かうとその途中でヒル魔くんに会った。
彼が通ると周りの人が避けていく。
…ちょ、ちょっと待って。
バズーカ抱えて歩いていたら誰でも避けていくに決まってるじゃない!
「そんな大きなモノ抱えて、校内を歩かないで!」
「いい加減慣れろ、糞マネ」
「その名前もどうにかして」
「だから慣れろ」
「慣れませんっ」
言い合いしているわたしたちを遠巻きにたくさんの生徒が見ている。
わたしたちの間では、そんな会話も日常で。






だがその日の午後に、他のクラスの女子数人に聞かれたのだ。
「姉崎さん、ヒル魔くん怖くないの?」
「…怖くないけど」
「それはやっぱアメフト部のマネージャーだからでしょう?」
うーん…と暫しの間を置いてわたしは答える。
「1年のときから怖いと思ったことはないわよ」
にっこりと笑顔で。


そういえば、風紀委員としてヒル魔に接していたときも、
セナの力に少しでもなるためにアメフト部のマネージャーになった時も
不思議とヒル魔くんの存在を怖いと感じたことはなかった。






でもほんとうは
彼女らに向けたその笑顔の中、
1%だけ嘘をついている。




ほんとうは少しだけ、怖い時がある。











ヒル魔くんに対して、怖いという感情が芽生え出したのは最近だ。
その怖さは泥門の生徒たちがいうところの怖さとは
質が違っているような気がする。
どう表現したらいいのかはわからない。
ただ夏以降、彼の視線が怖い…と感じてしまう時があって。
まるで心の中を射抜かれてしまうような、そんな感じで。
いつもではないのだけれど。


彼に近づけば近づくほど
心の中で、何かの鱗を1枚こっそりと剥がすような
どこかの開かずの扉を開けてしまうような
そんな怖さをも感じることがある。
どうしてなんだろう。





わたしは
何かたくさんのことに
気づかないでいるのではないだろうか。
自分の角膜にも意識にも蓋をして。



その1%の嘘が
真実であるのと同じように。
隠されているのだろうか
わたしが知らないでいる何かが。





わたしのこころの
しらないどこか。



















彼女が気がついてしまうのが先か。
彼の抑えが効かなくなるのが先か(笑)


まもりちゃんが気づいてしまう…という話は
シチュエーションも言葉も頭の中で
大体決まっています。
ただそこまでいくのにはまだまだ遠く
ちゃんと書ければいいなと思っています。
…原作がもうちょっと進まないとな〜〜(笑)





2005/12/10 UP



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