俺だけに向けられたものならば


そうだな
笑顔も悪くねぇ











オメデトウゴザイマス

(2005/11/24 姉崎まもりお誕生日記念SS)











風景の中の木々は色鮮やかにその葉を舞わせ
その色で地を染めていく。
そんな冬待ちの季節。





泥門高校アメフト部の部室に
ヒル魔と姉崎まもりの2人はいて。



彼が彼女に放り投げた小さい紙袋の中には、
彼女が愛してやまない「雁屋」のシュークリームがひとつと
小さなロケットベアーのストラップ。
「…ヒル魔くん」
「不満があんのか?ケケケ…なーんて贅沢な女だ」
顔を赤くした彼女は、ぶんぶんと頭(かぶり)を振る。
「やだもう。そうじゃなくて。
このロケットベアー、初期のUFOキャッチャーの限定物なんだけどっ。
ど、どうやって手に入れたの?」
彼は銃の整備をしつつ、舌打ちの音だけをを投げてよこした。





彼はどこにでも売っていないようなロケットベアーをと情報を探り
あらゆる手段を使ってそれを手に入れた。
そしてシュークリームの甘ったるい匂いにもめげずに
「雁屋」に出向き、食べ過ぎはよくないとひとつだけ。
今日は彼女の大事な日。





「過程なんかどうでもいい、気にすんな。うれしくねぇのか?」
「…いえ、とってもうれしいです。」
「オタンジョウビオメデトウゴザイマス、アネザキサン」
彼は無機質な声音で、呟くようにそう言った。
彼女は一瞬とても驚いた顔をする。
ちゃんと名まえを呼ばれたのが、ほんとうに久しぶりのことだったので。
けれどすぐに、にっこりと微笑んだ。
「ありがとう!大事にするわ」
そして彼も。
そう、彼にしてはとてもめずらしく
少し照れたような笑みを見せた。





11月24日は姉崎まもりの誕生日。
お誕生日おめでとう。


















これでもまだ付き合ってはいない二人。
…まだまだこれから?
『アリガトウゴザイマス』に続きます。




2005/11/24 UP


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