まだ夏の
青い空の下


花のとおくに
彼の姿


花と姿を重ねて
黄の色を心に映す










向日葵の花のとおく












夏休みが終わっても、まだ残暑は厳しくて
その向日葵も校庭の隅で背を伸ばして立っていた。





姉崎まもりは、その向日葵の前に立つ。
放課後、用事があって職員室に行ったその帰り道のこと。
太陽の光を十分に受けたのか、幹も葉も大きくて
花も十分な大きさで。
端の黄色い花弁がしなやかに立っていて…





(まるでヒル魔くんの髪のよう…)
そうまもりは思う。
彼は自分の髪なんか触らせてはくれないから
代わりに…そう、ヒル魔の代わりに花弁の黄色を掌で撫でる。
まるで子どもの頭を撫でるように。
もしも何かに怯えているのなら
その不安を癒してあげられるように。





花の向こうにはグラウンドがあって
そのとおくにヒル魔の姿が見えていた。
姿を重ね合わせて、見つめる。
まだ夏の青い空を視界の端に抱えたままで。









向日葵の花のとおく。
















まだ秋大会前。
うちのまもりちゃんは割と天然入っているので
自分の気持ちにまだ気がついてないようです。




2005/11/24 UP


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