悪魔の城に
聖母マリアが居やがる


なあマリア

誰にでも向けられる
笑顔なんかいらねぇ








Ave Maria






姉崎まもり。



小うるさい奴だと思っていた。
まだ今より髪も短くて
風紀委員サマサマで。






それが糞チビを守り
奴にたいして優しい顔を向ける。

まるで聖母マリアのように。




アメフト部にマネージャーで入ってからも
他の部員たちに笑顔で接する。


どうしちまったんだろう。
この俺にまで笑顔を向けるようになる。


まるで聖母マリアのように。
悪魔に向かって、優しく笑う。







笑顔はいらねぇ。
…そう思うことが度々あって。


計算外なところで
突然に出てくるその感情を
見ない振りして意識の端へ放り投げる。





そうだな。


誰にでも向けられる
笑顔じゃなくて。



たとえば
俺だけに向けられる、
怒った顔や困った顔


…そんなもんでいい。









だからやっぱり笑顔はいらねぇ。












タイトルの『Ave Maria』とここのサイト名『Maria』は
共にラテン語。
(英語だと聖母マリアはMaryさんになってしまうので)

ヒル魔視点ですね。まだまだ恋愛以前、最初の頃の彼。

このSSを、最初の作品として『Maria』は始まっていきます。



2005/11/24 UP



Back