星を映すその瞳が
まるで宝石のように思えて









星を見ましょう









夏の終わりの泥門高校。
夜も更けてアメフト部の練習も終わり
部室の鍵を閉めてヒル魔も学校を出ようとした。



校門まで来ると、そこに姉崎まもりの姿を見かけて
おやおやと思う。
もう遅いからと先に帰らせず
待たせていたのは自分なのだが。



まもりは宙(そら)を見上げていた。
夏の夜、満天の星。
うれしそうに、それはうれしそうに見上げている。






「何やってんだ、糞マネ」
「そんな名まえの人は知らないわ。ほらオリオン座」
指差すその先をヒル魔も見上げる。
見慣れた星の光の配列がそこにはあった。
「星座はあまり詳しくないの。知識としてちょっとしか知らなくて。
…でも綺麗でしょう?」
「わかんねぇし、興味もねぇ」
ヒル魔はそう言って、ガムをひとつ口の中に放り入れた。
まもりはちょっとふくれてみせたが、
すぐにヒル魔の方を向いて「帰りましょう」と言った。





確かに綺麗だな…とヒル魔は思う。
夜空の星のことではない。
まるで星がそこにあるようにきらきらと輝いている…
まもりの青い瞳。





たくさん頭上で踊っている星なんか
ヒル魔にとってはどうでもよかった。





宝石のように
星よりも光る、その青。



その一対さえ、傍にあれば。












タイトルから出来たSSです。
月バージョンもあるのかな?





2006/1/12 UP




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